創業24年の2ハット・イタリアン、ブオン・リコルド
バウンダリー・ストリートのちょうど中ほどにある濃いサーモン・ピンクの建物が目印のレストラン。シェフのアマンド・ペルチョコ氏とともに、既に24年も営業している。
外から全く見えない店内は、まるで別世界のよう。花柄の椅子、ピンク、赤、黄などの強い色をところどころに利かせたモダンでクリーンなイメージに、さらに彫刻、絵なが加わりさり気なくアーティスティックだ。ガラス戸越しのオープン・キッチンからは楽しそうな雰囲気が伝わってくる。きっちりお洒落をした客が来店。常連さんが多いようで、アマンドさんがお客さんと気軽に会話を楽しんでいる。ワインはデキャンタに入れてサーヴしている。
アントレがまたアーティスティック。ごく薄切りのキング・フィッシュ(ヒラマサ)がエクストラ・ヴァージン・オリーヴ・オイルとオレンジ・ジュース、ざくろジュースにひたっている様は、まるでグラフィック・アートを食べているよう。ざくろとオレンジの爽やかさに背筋がすっと伸びる感じ。
メインは子牛の薄切り肉の中にぎっしりとホウレンソウのソテーを詰めたもの。パン粉を付けて焼いてあるためサクッとした感触の後、柔らかな子牛の中のホウレンソウの味がパルメザンの風味とともにまよやかになって広がる、軽い肉料理。
デザートもまさにアート。ピスタチオ入りのクリームを固めたセミフレッドに、キャンディにしたフルーツとヌガーが周りに散りばめられている。濃厚なクリームにチェリー、リンゴ、あんずの酸っぱみと、ヌガーのクランチー感のヴァラエティが楽しめる一品。
ブオン・リコルドといえば、昔から変わらないフェトチーニのクリーム&パルメザン和えに、トリュフの香りを染み込ませた卵を使って目の前で目玉焼きを作って載せてくれるシュグネチャー・デイッシュ($34.50)もぜひお試しを。また、レシピ本「ブオン・リコルド・クック・ブック(Buon Ricordo Cook Book)」($65)が半年前にでたばかり。本には同店秘蔵メニューのレシピも満載。
Buon Ricordo
108 Boundary St., Paddington
☎(02) 9360-6729
ランチ/金土12PM~3PM、ディナー/火~土6PM~10:45PM
酒類ライセンスあり
★★2 Hats, Score 16.5/20 by SMHGFG2011
ビストロ調の雰囲気で味わう最高の料理、フリンダーズ・イン
01年にソルトのスーシェフを務めていたモーガン・マクグローン氏が修業先のフランスとブラジルから戻って作ったレストランで、ちょうど1年前の09年9月にオープン。場所はフリンダース・ストリートがムーア・パーク・ロードと交差する手前で、以前はワイルド・ライスというタイ・レストランだったが、全面的に内装を変え、スタイリッシュでいて温かなビストロ調。証明をかなり落としていて、鏡に口紅でメニューが書かれているのもお洒落。
まずはアントレの、ゴート・チーズのバヴァロア。チーズの舌触りをまるっきり変えて、冷たいプルプルのバヴァロアにしているのに、鼻からゴートチーズの香りが抜けていく感覚。それに新鮮なエンダイヴとエシャロット・サラダ、そしてキャラメライズド・オニオンの甘酸っぱさが心地よく、抜群のバランス感覚。
鏡に描いてある特別メニューのニョッキは、口の中でほどけるビーフの濃厚な味と、とろりとしたほんのり甘い巨大なニョッキがまったりと混ざり合いホっとする一品。ほかに人気のメインは、クリスプ・ポーク・ベリーのカリフラワー・ピューレとキャラメライズド・アップル添え($34)。
デザートのパルフェ(アイスクリームに近い)は、口に入れた途端、ラヴェンダーの香りに圧倒、その後ハニーの味わいがくる。煮込んだ洋梨が優しく甘い。洋梨とラヴェンダーの組み合わせに激しくうなづいてしまう一品。オープンして1年経たないのに大人気のレストランの秘密は、マクグローン氏の味のバランス感覚なのだろう。デザートは他にヴァニラ・クリーム・ブリュレ($14)も人気が高い。
「タフな感じなのにエンジェルのように調理をする」とグッド・フード・ガイドに描写されていたシェフは確かに優しく包み込むようなたたずまいで調理をしていた姿が印象的。絶対に予約は必要なので、その点、注意。
Flinders Inn
160a, Flinders St., Paddington
☎(02) 9331-0208
ランチ/金12PM~3PM、ディナー/月~土6PM~10PM
酒類ライセンスあり
Score 13.5/20 by SMHGFG2011
ひっそりたたずむのに存在感抜群の2ハット店、クローズ
シティからオックスフォード・ストリートを進むとセンテニアル・パークが見えるあたり、クイーン・ストリートに曲がる手前のブロックにひっそりとたたずむ。ただし2ハットの存在感抜群の店。現在のシェフ、シュイ・リー・ラク氏になって5年。昨年6月に改装した店内は、白が基調の清涼感があるデザイン。45席の地上階のほか、上の階にはプライヴェイト・ダイニング・ルームもある。
メニュは、3コース・メニュー($135)と8コースのテイスティング・メニュー($165)がある。テイスティングにはすべてのメニューにトリュフを加える($50)というオプションがあり、ポピュラーなのだそう。それぞれの料理とマッチング・ワインを楽しむワイン・フライト($85)はソムリエの西本氏が選んでいるからぜひ試してください、とシュイ氏談。取材日のメニューのワイン・フライトは、ほぼフランス産のワイン。7種類の別々のワインが楽しめる。
テイスティング・メニューからのイエロー・フィン・ツナとソルト・コットはフェネルとグリーン・トマトのソテー、ひよこ豆のベイクの添え物とイカ墨のソースという斬新な組み合わせ。
同じくテイスティング・メニューのデザートはシャンパンと黒トリュフのアイスクリーム。シャンパンの香りのクリーミーなアイスクリームは絶品、それにトリュフが混ざるとコクが違う。洋梨のダイスとメレンゲの上に載ったマシュマロは上品な味。
3コース・メニューのロブスター・ソーセージとブラッド・ソーセージもかなり斬新なアイデア。ロブスターの味を閉じ込めたソーセージにうっとり。カリフラワーとホースラディッシュのソースはまさに天国の味だ。
メニューは日替わり。少しずつ変わったり入れ替わったりと、楽しみがある。当然のように予約は必須。
Claude’s
10 Oxford St., Woollahra
☎(02) 9331-2325
ディナー/火~土7:30PM~9:30PM
酒類ライセンスあり
★★2 Hats, Score 17/20 by SMHGFG2011
朝、昼、晩とコーヒータイムも楽しめる、タイガー・モトル
パディントンのファイヴ・ウエィズからグレンモア・ロードを少しだけウラーラ寄りに行った角に控えめにあるカフェ。なのにコーヒーのテイクアウェイ客などで出入りが頻繁。
食べ物はすべて自家製で、マフィン(バナナ&ダークチョコ、ブルーベリーなど日替わり)も大人気な基本カフェだけど、グルメなディッシュが1日中楽しめる隠れカフェ兼ビストロ。
朝は平日7時からオープン。人気の朝食は、ビリーズ・バブル&スクアーク($15)。カリカリに揚がった皮付きチャッツ・ポテトにキャベツ、リークネギ、ベイビー・スピナッチ、ベイコンをソテーしたものが和えてあり、割るとトロトロに黄身が流れ落ちるポーチド・エッグ、そしてパルメザンとチャイブがトッピングされている。野菜たっぷりでご機嫌なグルメ朝食だ。ほかに、マッシュルーム・オン・トースト($14.50)も人気。セイジ味のマッシュルームとパルメザン、リコッタ・チーズがサワドゥに載った一品。
昼は黒板の特別メニューが人気、そのほか、スープ・オブ・ザ・デイ(取材日はロースト・パンプキンとカリフラワーのスープ$12.50)、サラダ(スモークド・オーシャントラウト・サラダ$16.50、グリルド・チキン・サラダ$14.50)も人気だ。
コーヒーの美味しさは言うに及ばず。ソイ・ミルクはボン・ソイ使用の嬉しい店。
2ヶ月前から夜はビストロ・メニューになる(水、木、金曜日のみ)。アントレはスープ、ガーリック・ブレッド、プラウン・サテ・ヴェトナム・サラダ、ハルオミとロケットのサラダなど。メインの大人気はポーク・パイ($17.50)。デザート各種ももちろんあり($8.50)。キッズ・フレンドリーでキッズ・メニューも3種(各$10)あるのが嬉しい。ディナーはウォーク・インも可能だが、人気店なので予約したほうがベター。
Tigar Mottle
248 Glenmore Rd, Paddington
☎0402-520-516
カフェ/月~土7AM~4PM、日8AM~4PM、ビストロ/水~金6PM~10PM
BYO